「こんにちは、憧子ちゃん!さっそく来てくれてありがとうね〜!あ、私のことは茉奈さんって呼んでね!」
にこやかに鏡越しに笑いかけられ、憧子は慌ててペコッと頭を下げる。
どうやら、爽やか笑顔は西嶋家共通のものらしい。
「さぁーて、今日どうしたい?憧子ちゃんは希望の髪型とかある?」
「あ、あの、茉奈さん!」
「ん?」
「私今日、お金あんまり持ってきてなくて…なので、カット無しでセットの仕方だけでいいかなと思ってまして…」
「いいのいいの!今日は大地のことでお詫びもしたかったし、お金もらうつもりないから!大丈夫大丈夫!」
「え!?お詫び??」
憧子が驚いていると、茉奈は後ろに立っている大地をちらっと鏡越しに見てから憧子に視線を戻した。
大地は「へへへ」と気まずそうにしている。
「昨日、大地が勢いに任せて余計なこと言ったんでしょー?もー、ごめんねー?この子、正しいと思ったら周り見えなくなるタイプだから、またやらかしたねっ!って言って怒ったのよ。」
「全然!余計だなんて…!むしろ、目を覚まさせてくれてありがとうって思ってます。でも、自分を変えたくてもどうすればいいかわからなくて…。」
憧子が俯いていると、茉奈がにっこり笑った。



