──せっかく、西嶋くんがここまで言ってくれてるから、信じてみようかな。
「わかった。行く!」
「っしゃ!じゃあ行こーぜ!」
「待って待って!ちょっと準備してくるからっ!」
勢いのついた大地は、なかなかの猪突猛進っぷりを発揮してくる。
慌てて親睦会で着ようと思っていた服に着替え、バッグに持ち物を入れ、出掛ける準備を済ませると、
憧子は母に「出掛けてくるー!」と声をかけた。
「夕方には帰ってくるのよー」という母の返事を確認し、大地と一緒に家を出た。
大地の家は、憧子家から歩いて20分ほど行ったところにあった。
駅前の綺麗なマンション。
「俺の家、ここの6階!」
と言いながら、大地がマンションの上の方を指差した。
──ここに住む人ってどんな人だろって思ってたけど…いたわ、ここに。
マンションに近づくと、大地はそのまま一階のヘアサロンに入っていった。



