ピンポーンと、玄関の呼び出し音が鳴った。
玄関に近いところにいた母が「はーい!どなたー?」と声をかけ、引き戸をガラガラと開けた音が聞こえた。
何やら話し声が聞こえ「ちょっと待っててね。」と言う声が聞こえた後、母親がパタパタと居間の方へ入ってきた。
「憧子!お友達よ!」
「友達?だれ?泉たち?」
急なことに、憧子が驚いていると母は、うふふーと笑いながらニヤけた。
「クラスの子みたいよ。西嶋くんだって。イケメンくんねー♡あんな子クラスにいたの!?」
最後の方の言葉は、少しだけ声量を抑えながらも、やや興奮気味の口調だ。
「西嶋くん…!?」
ガバっと慌てて立ち上がると、居間を出る前にハッとして自分の格好を見た。
下はジーパン。上は毛玉のついた黒いセーター。
慌てて、上の服だけ、まだまともな白のニットに着替えて玄関の方へ出た。
「佐敷さん、おはよ!」
こちらに気付いた大地がポケットから手を出して軽く挙げながら挨拶してくれた。
「おはよう、西嶋くん。どうしたの?」
「突然来てごめんね!午後会った時でもよかったんだけど、どうしても早く佐敷さんに会って謝りたくってさ。境内にいた人に家の場所聞いて来ちゃった!」
明るくそう言う大地に「謝りたいこと…?」と尋ねる。
すると。



