縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―


次の日の土曜日。

憧子はこたつに入り、机の上に突っ伏した状態で、ぼーっとテレビを眺めていた。


午後からの親睦会のことを考えると、体がちっとも動かない。…動きたくない。


「とーこー?今日は朝から境内の落ち葉集めしてくれないのー?」

母親の声が台所から聞こえたが「あとでするー」と生返事をしてやり過ごした。


昨日、大地から言われた言葉が頭の中をぐるぐると回っている。



『嫌なら嫌ってはっきり言おうよ!』

『勇気出して。』



「…わかってるもん。」



言われたことを思い出し、思わず涙を拭った。


分かってる。

いくら大地が言い返してくれたところで、憧子本人がはっきり意思表示しないと、何も変えられない。


むしろ、昨日大地が意見した時に

『佐敷さんのこと、好きなの?』

なんて言われたみたいに、

余計状況を拗らせて周りに迷惑をかけてしまうだけだ。

自分をしっかり持たなければ。



「分かってるんだけどなぁ…。でもどうやったら変われるのかなぁ…」



自分の弱さを指摘されたようで、悔しくて、悲しい。


また、じんわりと滲んできた涙を拭った。


その時。