憧子たちの中学校は、2つの小学校に通っていた小学生が集まって構成されている。

1つは一学年4クラスあった西小。

もう1つは、憧子たちが通っていた、一学年1クラスの東小。


なので、東小の生徒たちは肩身が狭い思いでみんな入学していた。


とは言っても、他の東小の同級生たちはみんな、数ヶ月のうちに西小出身のメンバーと打ち解けて上手くやっているように見えた。

小学校の時の仲良しメンバーとはクラスが別になってしまったので、憧子は人間関係をイチから積み上げなければならなかった。


にもかかわらず…
憧子は、やや出遅れた感を感じていた。



「あの、すみません!」



声をかけられ振り向くと、スラッとしたスマートな少年が立っていて、憧子の方に目線を向けていた。


憧子とお同い年くらいの男の子。


彼は、カーキのチノパンに、ネイビーのセーターを合わせ、

白いスニーカーに、黒のジャケットを身に着けている。

そしてサラサラのマッシュヘアは、時折吹く風に揺れていた。


今まで見たことのないタイプの、爽やかな男子だ。



──漫画に出てくる男の子みたい。



憧子がそう思っていると。