「誰が座敷童子だって?」
そう言いながらシマ達に近づいてきたのは、大地だ。
赤井も一緒にいる。
「おっ、転校生くん!ハジメマシテー!」
シマが明るく手を上げて挨拶したが、大地は真顔のままだ。
「今、佐敷さんのこと『ざしきわらし』って呼んだ?」
真っ直ぐな視線を向けられたシマは、ちょっと気まずそうにハハッと笑った。
「なに、怒ってんの?ちょっとからかっただけだって!」
「キミにとってはちょっとしたことでも、佐敷さんにとってはそうじゃないかもよ?少なくとも、俺は変なあだ名で呼ばれて、良い気はしないタイプだからさ。佐敷さんも、良い気はしてないと思う。」
相変わらず爽やかに、思ったことをスパーンと言ってのける大地。
苦し紛れに、シマが
「なになにー?転校生くんは、佐敷さんのこと、好きなの?」
なんて言っている。
大地は「どういうこと?」と返し、純粋に疑問をぶつけた。
「キミは相手のこと好きか嫌いかで対応変えるの?俺は、良いことか、悪いことか、を考えて話してるだけだけど?」
相変わらず、純粋に、真っ当な意見を言う。
おかげでシマは、ぐうの音も出ない様子だ。
「冗談通じねーな」とブツブツ言いながら、シマは連れの男子に「行こーぜ」と声をかけて足早に去っていった。
「かぁっこいいー」
泉の口から感嘆のような褒め言葉が漏れた。
呆然と大地の方に目線を送っていると、大地が公園の植え込みの間を抜けて憧子たちのいるベンチの方へ向かって歩いてくる。
「佐敷さん」
憧子の目の前に立って、大地が見下ろしてきた。
「な、なに…?」
憧子がドキドキしながら尋ねると。



