「お、泉たちー!買い食いしてんのー?」
後ろを振り向くと、1組の男子2人が道路側から公園にいる憧子たち4人に手を振っている。
「シマくんたち、やほー!違うもーん!水分補給だもーん!」
泉が明るくそう言うと、シマくんと呼ばれた男子が
「水分補給かよ。上手いこと言うなぁ!先生に見られないように気をつけろよー!」
と言いながらケラケラ笑った。
ふと、シマと一緒にいた男子が憧子の方を見て「誰?」と聞いてきた。
「3組の佐敷さんだよー!」
泉がそう言うと、男子2人は「あぁ」と言いながら嘲笑気味に言った。
「ウワサの『ざしきわらし』さんね!」
「あー、この人か!おかっぱだからますます座敷童子感あるわー!」
ケラケラと笑う2人を見た瞬間、
憧子は急に足元の地面が無くなったような、絶望感を覚えた。
他のクラスにも、憧子が『ざしきわらし』と呼ばれてからかわれている話が広がっている。
それを感じ取っただけで、目の前が真っ暗になるようだった。
「ちょっと──」
ムッとした様子の泉がシマたちを睨みつけた瞬間。



