縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―


転校してきた最初の週であるにもかかわらず、週末になると大地はすっかりクラスに馴染んでいた。


朝のホームルーム前の時間も、休み時間も、昼休みも、彼の周りには数人のクラスメイトが集まって大地と話をして盛り上がっている。


そんな彼の存在を、自席に座って斜め後ろに感じながら、憧子はいつも通りクラスで孤独な時間を過ごしていた。



そして、金曜日。夕方のホームルーム。

その時間、赤井からある提案があった。


「カイドンせんせー!明日、クラスのみんなで学校に集まってもいいっすか!?」


「明日?土曜日だぞ?どうしてだ?」


カイドンが聞き返すと、学級委員の斎藤が立ち上がって発言した。


「西嶋くんが転校してきたから、みんなで親睦深めるために学校に集まってゲームとかしたいねって話をしてたところで。海堂先生、なんとか融通きかせてもらえませんか?」


「構わんが…何をするんだ?」


「簡単な遊びですよ!ガチ鬼ごっことか、ガチかくれんぼとか!」


「いいね!で、その後、教室でお菓子とかジュースとか飲みながらゲームとかしたいねぇ!」


クラス中から、いろんな意見が出た。


「楽しそう!みんなありがとうな。ぜひやって欲しい!」


大地が嬉しそうにそう言うのを見て、カイドンが「よし。」と意気込んだ。


「わかった!俺がなんとかするが、夕方までには解散するスケジュールで考えろよー。」


「はーい!」


その後は、斎藤が壇上に立って役割分担や企画内容を決めていった。