縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―


出欠確認も終わり、そのまま海堂先生の数学の授業に入った。

授業が終わって1限目の後の休み時間。


大地はさっそく赤井のもとへ歩いていき

「さっきはありがと!バスケ部、マジで見学していい?」

と爽やかに話しかけていた。


ネアカな赤井は

「お!嬉しいなぁー。もちろんいいぜー!ちなみに前はポジションどこだった?」

と元気に返している。


そんな2人の周りには男子も女子も集まって、大地と話し始めた。


みんなと話す大地の様子を伺っていると、歯に(きぬ)着せぬ物言いと、オモテウラのない人の良さが自然と伝わって来るようだった。


放課後、大地が「また明日ね、佐敷さん!」と声をかけてくれたので「あ、あのっ!」と言って引き留めた。


「ん?」


大地が立ち止まって憧子を振り返る。


「あのっ!今日はありがとう。その…あだ名のこと。」


憧子がそう言うと大地は

「あー、出欠確認の時のこと?」


と聞き、憧子がコクコクと頷くと、


「やっぱり、あのあだ名で呼ばれるの、嫌だったんだ?」

と尋ねてきた。


憧子がまた、コクコクと頷くと、大地はニカッと笑った。

「お礼言ってもらえるほどのことしてないけど、どういたしまして!でも、マジで思ったこと言っただけだから、気にしないでね。」


大地がそう言った後「おーい、大地どこだよー?」と呼ぶ赤井の声が聞こえた。


「やべ、呼ばれた!」


そう言うと、大地は憧子に向かって

「今からバスケ部の練習見てくる!じゃあ、また明日ー!」

と言って、元気に教室から出ていった。