「みんなの前で堂々と呼べないあだ名なんて、人につけない方がいいと俺は思うよ!だから妙なあだ名で呼ぶのはやめよーぜ。」
スパーンと爽やかにそう言い放った後、
大地は「佐敷さん、よろしく!」と言い、
憧子を見てにこっと笑った。
まさかの出来事に、ポカーンとしたまま、憧子は着席する途中の体勢で固まっていた。
クラスのみんなもポカーンとしているが、ごもっともな意見に、誰も何も言えない。
大地はそんなクラスの空気を気に留める様子もなく「海堂先生、次は誰ですかー?」と出欠確認を先に進めるよう促した。
「お、おう。次ー、瀬戸内ー。」
海堂も、大地の発言を聞いて呆気にとられていたが、気を取り直して出欠確認を進めた。
憧子は我に返ると、ゆっくりと席についた。
──すごいな、西嶋くん。あんなに堂々と発言して。
大地の発言は、正義感というよりも、
純粋に『ダメだと思ったことはダメと言うものだ』という考えから来ているような感じがして、
一切嫌味がなかった。
『かぁっこいい〜♡』
女子たちの囁き声が聞こえる。
大地の好感度はますます急上昇したようだった。



