「よーし、じゃあ西嶋の席は…黒木!手を挙げろー」
憧子の横に座っている黒木啓司が「ほーい」と呑気に返事をしながら手を挙げた。
「…あいつの後ろな。」
「分かりました。」
そう返事をすると、大地は、憧子と黒木の間の列を通って近づいてきた。
憧子がちらっと大地を見ると、大地がにこっと笑って小さな声で『よろしく』と言った。
憧子がコクッと頷いたのを見ると、大地はまたにっこり笑って、憧子の斜め後ろ、教室の後方角の席についた。
「よーし、じゃあ出欠とるぞー。今日はみんな、返事をする時に立ち上がって、西嶋に一言、挨拶してくれ。じゃー、赤井!」
「はーいっ!」
教室前方の角に座っていた赤井は、元気に立ち上がり「赤井でーす!西嶋くん、前の学校では部活してた?」と尋ねた。
「うん!バスケしてた!」
大地も元気に答えると、赤井は「っしゃー!」と言いながらガッツポーズした。
「俺もバスケしてます!よかったら、今日さっそく練習観に来てなー!よろしく!」と言って赤井は座った。
「じゃあ次ー。宇野原ー。」
「ほーい。」
体格のいい太っちょの男子がのんびり立ち上がり、
「宇野原でーす。見た目通り、食べることが好きでーす。よろしくー。」
と言い、大地が
「俺も食べるの好き!よろしく!」
と答えた。



