ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

この人がこの店のナンバーワンだろうか。
近くにいるだけでその存在感に圧倒されてしまいそうになる。

「ここではみんな源氏名で呼び合っているのよ。私はマキ。よろしくね」
マキと名乗ったそのひと人が右手を差し出してくるので日奈子は自然と握手をしていた。

細くてしなやかな指先。
指先の先端まで気を抜いていないのだろう、爪はピカピカに磨き上げられていて、透明なネイルがほどこされている。

決して派手じゃないのにジッと見ていたくなる指先だ。
それに比べて自分はどうだろう。

ふと、日奈子は握手している方の指先へ視線を向けた。
最近指先の手入れまでは行き届いていない上に、寒さのせいでささくれだっている。

栄養が足りていないのと、自分の歯で噛んでしまって爪先はボロボロだ。
途端に恥ずかしくなってすぐに手を引っ込めた。

振り払うような形になってしまったけれど、マキは気にしていない様子だ。