ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

男性が少し横へ避けてくれたので、ヒナはそこに座った。
お客さんとの距離は離れているのに、緊張で心音が相手に聞こえてしまうんじゃないかと不安になった。

そんな緊張をごまかしつつ、お客さんに温かいおしぼりを渡す。
「ありがとう。ヒナちゃんだっけ? 見たことない顔だね。新人さん?」

「は、はい! 今日始めて席について、それで……」
しどろもどろになって説明するヒナにお客さんは優しく微笑む。

「それじゃ僕がヒナちゃんの1番最初のお客さん?」
「そうです!」

「それは光栄だなぁ。それじゃ少しいいお酒をいれなきゃいけないかな」
「い、いえ、そんな」

申し訳無さから思わず拒否してしまいそうになり、思いとどまる。
ここはお客さんに甘えて高いお酒を入れてもらった方がいいんだっけ。

カズもそうしていたよね?
迷っている間にお客さんは勝手にお酒を注文してしまった。

「僕はね、釣りが大好きなんだ」
「釣り、ですか?」