ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

それを聞いてホッとする。
ホスト店から退店するときにはキャストがお客さんの頬にキスしていた。

ここでもそうことが必要だろうと思っていたけれど、今のところキスを求めてくるお客さんはいないようだった。
そもそも、このお店ではお酒を軽く嗜む程度にして、ベロベロに酔っ払うお客さんが少ない。

嬢に絡みついて離れないとか、迷惑をかける人も今のところ見たことがなかった。
高級キャバクラと歌っているだけあって、お客さんの質も違うのだろう。

マキとふたりで店内へ戻ると、マキはすぐに指名を受けて行ってしまった。
ヒナは少し休憩しようと邪魔にならない通路を通って休憩室へ向かう。

ホールから出ようとしたそのときだった。
「ねぇ君」

突然後ろから声をかけられてビクリと肩を震わせて立ち止まった。
振り向くとそこには奥の席でお酒を楽しんでいた1人のお客さんが立っていた。