◇
「はあ……くったくた……。なんもする気になんねーや……」
「私もです……」
「俺も……」
第三被服室には生ける屍が三体、溶けた餅のように実習テーブルにベターっと張りついている。
唯一、映奈先輩だけは、ショーを見にきた友達と元気にカラオケへ出かけていった。
一度緊張がとけてしまうと、元通りになるまで時間がかかるのは仕方のないことだった。
せめて片付けぐらいは今日中に終わらせなくてはと、重い腰を上げたその瞬間、匠先輩のスマホが鳴った。
「はい、もしもーし。あ、部長?うん。うわ!マジか……」
通話を終えた匠先輩はげんなりした表情で、私達二人に向き直った。
「これから緊急ミーティングだってさ。ちょっと行ってくる。片付けは明日でいいから、二人とも先帰ってていーよ。葵、晶ちゃんをちゃーんと家まで送っていけよ!」
匠先輩はそう言うと、スクールバッグを肩に担ぎ、バタバタと第三被服室から出て行ってしまった。
匠先輩がいなくなった第三被服室は火が消えたように静かになった。
「……帰るか」
「はい……」


