「いいじゃん。よく似合ってる!」
私の準備が終わるのを女子控室の外で待っていた匠先輩も手放しで褒めてくれた。
そして、葵先輩の作った服に身を包んだ私を見て、誇らしげに言った。
「元気出るでしょ?葵の服は」
「はい!」
最初は疑っていたけれど、今は掛け値なしにそう思う。
葵先輩の服は既製品にはない着心地の良さを感じた。
私のためだけに作られた、私だけの服だ。
最高に決まってる。
「さあ、急ぐよ!」
スタンバイの時刻は既に過ぎている。
私達は体育館まで走って移動し、ステージ脇で自分達の順番が回ってくるのをひたすら待った。
スタンバイの間、妙に心が凪いでいた。
ステージ脇からも、会場の様子は伝わってくる。
ショーは盛況で、満員どころか立ち見まで出ているようだ。
(不思議……)
大勢の人がいるのなら、もっと怖気づいて、取り乱すと思っていたのに。
今は葵先輩の服を沢山の人にお披露目したい、その一心だった。


