「晶、これ持ってそこに立ってて」
葵先輩は濃いネイビーの反物を私に渡し、柱の隣に立つように指示した。
「もっと濃い色の方が合うか?」
私には色の違いがさっぱり分からない。
葵先輩は店の中を歩き、更に質感の違う二種類の反物を持ってきた。
「どっちがいい?」
「私が決めて良いんですか?」
「晶が着るんだから、自分の意見も主張しろよ。匠なんか毎回うるさいぞ。『このボタンは素材が嫌だ』『この襟は形が好みじゃない』ってな?」
初めて体験する服作りはワクワクすることばかりだった。葵先輩に教えてもらいながら、試行錯誤を繰り返しし、前へと進んでいく。
雑用しか出来ないことをもどかしく思いながら、着々とショーの準備は進んでいった。


