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それからは怒涛の日々だった。
ウォーキングの猛特訓の他にもショーに向けてやらなければならないことは盛りだくさんだ。
ステージを歩く時に流す音楽を決めたり、照明の色、演出、来場者に配るパンフレットの紹介文を決めたりと。
けれど、そのほとんどを匠先輩が請け負っていた。
「葵には服作りに専念して欲しいからね」
匠先輩と葵先輩は明確に役割が分担されている。
匠先輩はまさにハニワの総合プロデューサーだった。
そして、葵先輩は匠先輩の期待に応えるように、服作りに没頭するのだった。
「こんなに買うんですか!?」
「今回は少ないくらいだぞ」
ついてこいと言われてお供したのは、手芸用品店が軒を連ねる繊維問屋街だった。
葵先輩はとある生地屋さんに一歩足を踏み入れるなり、カゴの中に次々と反物を放り込んでいった。
値段とか一切考えないんだろうか?


