(う、うわ!緊張してきた……!)

 168センチのデカい図体とは真逆の小心者の私には、応援していますという気持ちをこめたファンレターを渡すのですら、この体たらく。

 告白なんて夢のまた夢の話。
 だから、先輩の彼女になりたいなんて、高望みはしていない。

(あ、誰か出てきた!)

 部室の扉が開くと、私は植木の陰にサッと身を隠した。

 まもなく、エナメルバッグを下げた男子生徒が三人出てくる。

 私は真ん中にいる男子生徒に目が釘づけになった。

 太陽に透けると少し茶色くなる短髪。こんがり日焼けした肌に、大きな瞳とチャーミングな笑顔がトレードマークの男子生徒。

 あの人が小鳩祐太(こばとゆうた)先輩だ。

「小鳩先輩!」

 私は勇気を出し、小鳩先輩の前に立ち塞がった。

「あ、あのっ、小鳩先輩!少し、お時間よろしいですか……?」
「俺?」
「先に行ってるぞ」

 小鳩先輩のチームメイト二人はニヤニヤと薄笑いを浮かべながら、その場を離れていった。