初恋リメイク!



 ◇

 二日後の昼休み。
 私は結論を携え、第三被服室へとやってきた。
 今度こそ、「できない」とはっきり返事をするつもりだった。

(あれ?ドア開いてる……。中にいるのかな?)

 先日は閉め切られていた出入り口の引き戸が、今日は開いている。

「葵せんぱ……」

 葵先輩の後ろ姿を見つけ声をかけようとしたその時、驚きではっと息を呑む。

(笑ってる……?)

 葵先輩はトルソーに布を留めつけながら、ニヘラとしまりなく笑っていた。
 まるで、服作りが楽しくて仕方ないと言わんばかりだ。
 よくよく耳を澄ませてみると、調子が外れた鼻歌まで歌っている。

 針仕事をしながら歌っているなんて、おとぎ話に登場する妖精のようだった。

「お!今日も葵のやつ、ご機嫌だな?」
「た、匠先輩……!」

 被服室の中に入るのをためらっていると、いつのまにか背後に匠先輩が立っていた。

「あいつね、普段はツンケンしてるけど、服を作る時だけはすっげえ楽しそうなんだ。意外でしょ?あーあー。あんなだらしない顔して……」

 匠先輩は心配性の母親のような口調で、葵先輩を見守り続けた。

 少年のようなあどけなさでトルソーを見つめるその表情は、私の中にあったクールな葵先輩像とかけ離れていて、目が離せなくなる。