「ちょっ!声が大きいよ!」
匠先輩から嗜められて、慌てて口元を押さえる。
だって、ファッションショーとかモデルとか……意味の分からない単語ばかり。
いや、意味は分かるけど脳が理解を拒否している。
私がモデルとしてショーに出演するなんて、あまりにも無謀な話だからだ。
匠先輩は大混乱に陥った私のために詳しく説明してくれた。
聞くところによると、服飾部には半年に一度、各々の成果を披露するショー形式の発表会があるそうで……。
「まあ、ひとくちにファッションショーといっても学内限定のショーだよ。見に来るのは学園の生徒と保護者、あとはOB・OGぐらい?ね?大したことないでしょ?」
「大したことですよ!」
私は厳重に抗議した。
いくら学内限定だとしても、ショーモデルなんて無理に決まっている。
図体ばかり大きくて立派だけれど、心は繊細なガラスでできている。
例の告白だって、わけわかんなくなって焦った結果、反射的に口走ってしまっただけで……。
不特定多数の人の前で服を着て歩く度胸も勇気もない。
どうせ醜態を晒してしまうに決まっている。
「今すぐ返事しろとは言わないからさ。二、三日ゆっくり考えてみてよ。断るのはそれからでも遅くないでしょ?」
匠先輩は私の心を見透かしたように、返事を保留にしたのだった。


