「身長は何センチだ?」
「ひゃ、168センチです……」
「確かに……中一の女子にしてはちょっと大きい……か?」
葵先輩は半信半疑なようで、不思議そうに首を傾げた。
……ちょっとどころの話ではない。
背の順で並ぶと必ず最後尾だし、男子と混ざっていても違和感がない。
レディースサイズの洋服は裾も丈も合わず、どれもまともに着られない。
フリーサイズって書いてあるのに!
葵先輩は顎から手を離すと、丸イスの周りをグルグルと歩き、不躾なぐらいジロジロと私を眺めた。
(な、なんなの!?)
突然始まった奇行に、私はあわあわするばかりだった。
「匠……どう思う?」
「いいんじゃない?葵が気に入ったなら、俺は全然OKだぞ」
匠先輩は気にも留めず、ストローをくわえながらOKサインを送って寄越した。
「素材は悪くない。猫背とネガティブな性格は当日までにどうにかしろよ」
「何の話ですか……?」
「実は来月、服飾部主催のファッションショーがあるんだ。いつもショーモデルは俺一人なんだけど……」
匠先輩は葵先輩に続きを言うように目で合図を送った。
「今回は、もうひとりショーモデルが欲しかったんだ」
「ということで、晶ちゃん。俺と一緒にファッションショーに出ませんか?」
「えーーーーーーーーーー!!」
私の咆哮は第三被服室のみならず、廊下を抜け、実習棟全体に響き渡った。


