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放課後になり、私は借りたジャージを返しに第三被服室へ足を向けた。
葵先輩は今日もテーブルの上に布を広げていた。
匠先輩はそのかたわらで自販機で買った紙パックのオレンジジュースを飲んでいた。
「晶ちゃん!」
匠先輩は私がやってくると、二パッと無邪気に笑いかけてくれた。
「借りていたジャージを返しにきました。どうもありがとうございました」
「別に……いつでもよかったのに」
葵先輩に洗濯を終え、綺麗に畳んだジャージを手渡すと、今度は匠先輩に向き直る。
そして、スカートのポケットにしまっておいたリボンを取り出した。
「あと、このリボンなんですけど、やっぱりお返しします」
「え!?なんで?気に入らなかった?」
匠先輩の表情がにわかに翳っていく。
私は慌てて弁解した。
「いえ!全然そういうことじゃなくて!私には……ちょっと合わないっていうか……」
「俺の作ったリボンのどこに不満があるんだ?教えてくれ」
葵先輩は作業の手を止め、会話に加わってきた。
真っ直ぐな眼差しには、ものづくりにかけるプライドが垣間見える。


