(……ん?)
借りたジャージを返そうとふと視線を手元に落とした私は、あやうく腰を抜かしそうになった。
学校指定のジャージは男女で肩に入れられているラインの色が異なる。男子は青ライン、女子が赤ライン。
目の前にあるジャージは青のラインだ。
ということは……。
「だ、だだだ、男子!?」
「あ、やっぱり気づいてなかった?俺、男だよ?」
匠先輩は両手を腰に当て、エッヘンと胸を張った。言われてみれば確かに、そこにあるべき胸のふくらみが見当たらない。
「う、うううう、ううう、うそだ!」
「本当だよ。まだ声変り前だし、こんな格好してるからよく間違えられるけど、生物学的には男なんで。よろしく!」
ああ、神様……。なぜ匠先輩の可愛らしさの三分の一でも私に分け与えてくれなかったのですか?
えこひいきばかりの神様が恨めしい。
(こんな綺麗な男子がいるなんて!)
匠先輩の声も、仕草も、女の子そのもの。髪だって私と同じくらい長い。
スカートから伸びる脚はムダ毛が一本もなく、ツルツルだ。
圧倒的な格差を見せつけられ絶望に浸る私の前に、葵先輩が立ち塞がる。


