「お待たせ〜!」
普通の教室より広いせいか、匠先輩の明るい声がやけに響いた。
匠先輩は擦りむいた膝をペットボトルの水とハンカチで綺麗にすると、絆創膏をペタリと貼ってくれた。
「ジャージも持ってきたから使ってね!」
「あ、あの……」
匠先輩から「はいっ!」と勢いよく渡されたのは、どうやっても私が着られそうにないSサイズのジャージだった。
もし、私がこのジャージを着たら、両手両足が大きくはみ出た無様な姿をお見せすることになってしまう。
「匠、流石にお前のサイズだと着られないんじゃないか?」
仏頂面でテーブルに肘をついていた葵先輩が、見かねたように助け舟を出してくれた。
「あ、そっか!気づかなかった!」
「無駄にデカくてすみません……」
心の中が恥ずかしさでいっぱいになっていく。
せっかく、匠先輩が好意で貸してくれると言ってくれたのに、何の役にもたたないデカイ図体のせいで逆にご迷惑をお掛けすることになるなんて……。


