それからしばらくして。
 あたしは、ふたたびバレー部に復帰することになった。悪いウワサも今ではすっかり落ち着いて。
 バレー部の子たちも、ちゃんとあたしにあやまってくれたんだ。

「あの子のこと大丈夫? またなんか言われたら、教えてね」
 って、露原先輩は心配してくれたけど。
「それが……あのあと珠莉、大空に告白したそうです」
 そこで、大空から彼女がいるって聞かされて。
 あたしがウソついてないってことが、イヤでも分かったみたい。
 あれからちょっとおとなしくなっちゃった。
「へぇー。あの子、オレの言うことなんか聞く耳持たないと思ってたけど、ちょっと見直したな」
 先輩が意外そうに目を丸くする。
 先輩の気持ち、珠莉にもちゃんと伝わってたんだね。
 
 珠莉にされたイジワルは、やっぱりすぐには許せないけど、大空のことが好きな気持ちはほんとうだったみたいだから、失恋の痛手、早く治るといいな。

「そんなわけで、先輩。放課後こうやって、図書室に来るのも今日が最後です」
 あたしは、ペコリとおじぎをした。
 そのあとすぐに、ニコッと顔を上げて。
「だけど、あたし、これからはずっと先輩のそばにいますから。先輩がつらいとき、困ったとき。そんなときはいつもとなりにいて、しっかり守ってみせます。なんてったって、あたしは、先輩にとってのヒーローですからね」
 すると、先輩はちょっぴり赤くなって、
「ありがとう。オレも、いつもキミを笑顔にできるヒーローでいられるよう、これからもがんばるよ」
 と、言ってくれた。
 
 これからは正真正銘の「カレカノ」同士。
 ひとりぼっちだと不安だけれど、ふたりでいれば、おたがいにずっとずっと強く、やさしくなれるよね。
 
 あたしたちはギュッ! とあたたかい握手を交わすと、ニコッと笑って声を合わせた。
「困ったときは、おたがいさま!」
 
 おわり