ワガママだな、あたし。
 つらい思い出を話してくれた露原先輩に寄りそいたくなって、つい調子にのっちゃった。
 
 先輩は、ほんとうはあたしのこと好きなんかじゃないのに。
 このままこの関係がずっと続けばいいのにって、そう思うようになってたんだ。
 
 困ったな。
 これから先輩と顔合わせづらくなっちゃった……。

 次の日から、あたしはひとりで登下校することにした。
 今まで顔を出していた図書室にも行かないことに。
 
 ごめんなさい、露原先輩。
 今まであたしのためにつきそってくれてたのに。
 だけど、今先輩と顔を合わせたら、自分の想いがこみあげてきて、つい先輩に甘えちゃいそうになるから。
 カレカノ作戦をやめたら、またクラスやバレー部の子たちにあれこれウワサされるかもしれないけど、これ以上先輩に迷惑はかけられない。
 ちゃんとひとりでもつらいことを乗りこえられるようにならなくちゃ。
 
 先輩に会わないと決めてからしばらくたったあと、下校しようとゲタ箱から靴を出そうとすると。
「あれ?」
 ゲタ箱のなかに手紙が一枚入ってる。
 差出人は……えっ、珠莉!?