うそ!?
 いつも明るくてやさしい露原先輩が、いじめのターゲットにされてたの?
「何度もやめてほしいってクラスの子たちに頼んだけど、全然おさまる気配がなくて。担任の先生もお手上げ状態で。教室にいても校庭にいてもつらいから、図書室が唯一の逃げ場だったんだ」
 先生が止められないくらいひどい状態だったんだ……。

「見かねた親が、気を利かせてクラスの子たちのために差し入れを用意してくれたんだけど。それが逆に火に油を注いじゃって。こんなもん教室に持ってくるな! ってますますいじめられて。もうそのときは目の前が真っ暗になった。もう学校に行くのやめようかなって思ったくらい」
 そう語る先輩の声はかすかにふるえていた。
 
 当時のつらいことを思い出させちゃったかな。
 ムリに話さなくても大丈夫ですよ、そう声をかけようと思ったけど。
 そのあと、すぐに先輩は、
「だけどね。そんなとき、オレの前にヒーローがあらわれたんだ」
 と続けた。