「なに?アネモスを使えなくなった、だと?」



それはある日のこと。


Sクラスに集ったいつものメンバーのなか、深刻そうな顔をして相談してきたのはアレフくん。

まず最初にすぐ反応したのはローサさんだった。



「…使えないっていうか…、ちゃんと、使えなくなった」


「…どういうことだ。ちゃんとって、アネモス自体はいるんだろう」


「…うん」



すぐさまローサさんはアレフくんの身体に異常がないかどうかを治癒魔法で調べ始める。


アレフくんがアネモスを使えなくなった……。


彼らは必ずセットだ。

アレフくんあるところにアネモスがいて、アネモスあるところにアレフくんがいる。


そんな関係に亀裂が生まれているだなんて、これは一大事だ。



「それが…“あるときだけ”、ちゃんと使えないんだ」


「あるとき、だけ…?」