私が赤ちゃんの頃、両親は大きな事故で死んじゃったらしいのだけど、詳しいところはいつも教えてくれなかった。
「江架。あなたはこの先も、人より苦しむ回数のほうが多いでしょう。それでもね、あなたの魔法は……あなただけのもの。
江架の魔法は、破壊以上に大きな愛と調和をもたらしてくれるものよ」
おばあちゃん、夜巳おばあちゃん。
あのね、すごい人とペアになっちゃったの。
私に魔法なんかないのに、まるであるかように接してくる。
そんな姿がね、夜巳おばあちゃんと重なったから。
私……ちょっとだけ、うれしかったんだ。
あの学校で初めて嬉しいことがあった。
ルス先輩って人だけじゃない。
アネモスと、そんな魔法を使う男の子とも出会った。
「…がんばる。私、もうちょっとだけ頑張ってみる」
「さすがはあの子とシドくんの娘ね」
「シド、…って、お父さんのこと?お母さんを最後まで守ってくれたって…」
「…ええ。ほら、手を洗って着替えてきなさい」
「…うん」
もっと教えてほしい。
お父さんとお母さんのこと。
どんな魔法を使っていたのか、どんな人たちだったのか。
どうして───…娘を置いて死んじゃったのか。



