それに、名前。
これもまた和の国から取られたものらしく、私の名前はみんなと大きく違う。
名前だけじゃなく苗字までセットであること。
「八神ってなに…?どうして私だけ、ひとりだけなの…?」
エーテル国では、それぞれに苗字というものが存在しない。
表すとするならば、出身地区名が合わせられる。
たとえば東地区出身ならば、書類だったりには左側に「アナトリー」というものが付けられる。
北地区出身ならば、「ヴォラース」
基本は下の名前だけのため、あまり使われないのが一般的な名前表記。
でも私は、八神 江架。
初めて聞いた人間は必ずと言っていいほど、さげすむように笑う。
「……ふふ」
「っ、もう夜巳おばあちゃんまで笑ったぁぁ…っ」
「ちがうのよ。あなたのお母さんも小さな頃は同じことを言っていたから、懐かしくて可愛いと思ったの。
それに……おばあちゃんも八神よ?黒い髪で、茶色い目よ?」
私が物心ついたときにはもう、家族はおばあちゃんだけだった。
遺影を見たとしても、今でもなお、家族だとは思えない。



