だから俺にとっての家族は……、
ほんとうの家族は────、
《あーっ、うっ》
「っ!」
どこに進んでいるかも分からない暗闇。
終わりも始まりもない闇のなか、足取りが止まった。
足元、小さすぎる手が俺の足を掴んでいる。
《にーっ》
「……はなせ、江架」
《うーっ、やっ》
ハイハイだったそいつは、ゆっくりと立ち上がってつかまり立ちをしてくる。
俺の記憶にある妹はそこで止まっていた。
しかし少女は、俺が知らない姿に成長してゆく。
物心ついた頃になると、ふにゃりと顔を歪ませながら口を開いた。
《どこいくの?》
「…………」
《わたしをおいて、どこにいっちゃうの。おにーちゃん》
俺は、足を進める。
おもむろに足を進めて、暗い暗い地獄へと。
2度と人間に生まれ変わることはできない。
死ぬことも生きることも許されず、俺は罪人となった。



