「泣き虫なところは星架に似たな」
「…そうね。なにもない場所で転ぶところも、かな」
もう、思わない。
お父さんの髪色に似たかったとか、お父さんと同じ目の色が良かったとか。
この人たちの子供でよかった。
私の両親が彼らで、よかった。
私は私にしかない自分の名前と色が、だいすき。
ただ、なにかが足りない。
これが完成じゃない。
もうひとりの誰かが必要なんだ。
「わたし…、まだなにか……忘れてる気がするの…」
もうひとつ、あるの。
私がどうしてここに来たのか、それまで何があったのか、どうやっても思い出せなくて。
「江架ちゃん、少しだけ記憶を見せるよ」
「え…?」
そっと、前髪が持ち上げられる。
おでこにお父さんの人差し指と中指が当てられると。
ぽわっと、やさしい光が広がった。



