「なに、どーいうこと…?夢……?ちょっと意味わかんなくない…?」
「ルス先輩、だよね……?なんで…?なんでルス先輩があんなガリ勉メガネなんかと…!?」
「偽物なんじゃない…?冗談に決まってるわよあんなの…!!」
「そっ、そーよね…!!」
私だってそう思いたい、そう思ってる。
でも、さっき、頬に手を当てられたとき。
彼の力強い魔力と、私の身体のなかに一応は存在する魔力が明らかに融合したんだ。
これは私にしか分からないこと。
あれを偽物だなんて言ったら、それこそ魔法を愚弄(ぐろう)している。
「……きょ、今日も…お疲れさまでした……」
ざわつく教室を背に、逃げるようにしてドアを閉めた。
そんな動作も私の場合は手動。
ドアの開閉は手動、ペンを取り出すのも手動。
初期魔法ともいわれる遠隔操作魔法は、誰もが幼い頃から手にできるものだという。
ただ私の場合はそうではない、それだけのこと。



