ご飯も作ってくれて、涙を見せた夜は彼らしく拭ってくれた。
家族のように過ごしてくれたんだ。
「人は変わった生き物です。憎しみのボルテージがとあるラインを超すと、今度は不思議なことに愛着が湧いてしまうんだ」
「…ちがう、やめろ」
「おかしいね。レオンハルトくんは君のことが本当は大嫌いなのにねえ」
「ちがう!!!」
耳元、呪いのように囁かれる。
声を荒げた師匠の優しさは、私のもとには惜しくも届かなかった。
─────ホラ、ワタシノイッタトオリダ。
また、現れた。
私のなかに住み着く寂しい悪魔が。
「江架ちゃん。君のお母さんとお父さんを殺したのは私だよ?」
「………、ぇ……、」
「とある薬をね、君のお母さんに試したんだ。実験台にして暴走させて、大きな計画を実行しようとしていたのに。…まったく困ったものだ。
君のお父さんは、君のお母さんと一緒に焼かれるくらいに執念深くてしつこいんだもの」
オマエノ、ミカタナド、イナイ。
ワタシシカ、イナイ。
ワタシタチハ、ズット、ヒトリナノダ。



