「…なるほど、4属性同時か。そのぶん攻撃力が落ちてたら意味ねえぞルス」


「見ていてください。僕も意味のある特訓をしてるってこと」


「そうか。…来い」



50倍の魔力向上。

現時点で最初の頃とどれくらいの変化があるのか、考えてもいない時点で明らかに変わっているということだろう。


今もぶつかり合ったふたつの魔法から感じる、どちらも手加減していない魔力。



「………よしっ!3匹目!」



そんな私といえば、先ほどからずっと特待生たちvs師匠の声を背に、川と向き合っていた。


ちゃぽんっと魚が跳ねるたびに、私は意識を集中させる。


夕食当番なのだ。

もし収穫ゼロだった場合は、仲間たちの食事もナシ。


これが私だけに課せられた特別訓練。



「江架、魚いっぱい取れた?」


「アレフくん!あと3匹取れば全員ぶんはあるけど、それじゃみんな足りないよね」



休憩に入ったのか、逃げてきたのか、アレフくんが私のそばにトコトコやって来てはバケツを覗きこんだ。