「私は、おに……、師匠を…信じたい」
その夜、雨が上がった。
明日のために早く寝なければいけないのに、なかなか寝付けなくて。
ベランダに出て夜風に当たっていた私に、背後からカタンと、小さな音。
「眠れないのか」
「……うん」
私の隣に立つ、8歳年上の同居人。
風に揺られる髪色を見るたびに、やっぱり自分と比べてしまう。
いいなあって思う。
「……ありがとな」
「…え?」
「昼間、ハオに言ってくれただろ」
満ち欠けた月。
満月よりも落ち着くのはどうしてだろう。
「あってた…?」
「…あってたって、なにがだ」
「…昔から避けられて生きてたし、友達もいなかったから。ああいうときどう伝えたらいいか……、ぜんぜん分からなくて…」
静かな夜は思い出す。
そういえばって、思い出す。



