「だ、だめ……?」
「……それは僕がダメかも」
「えっ、なんで…?っ、わ、」
すごい目をしてくる。
鋭くて、甘くて、熱まみれ。
ずいっと顔を近づけられると、私のほうが逃げたくなっちゃうくらい。
「おいで」
「ひゃっ…!」
いつの間に後頭部。
くいっと軽く引き寄せられただけ。
ぐらりと傾いた身体、絶望的なバランス、屈んでくる王子様。
これは魔法なんかじゃなく、ルス先輩が私に触ってきただけ。
近づいてくる顔も、血色も形も最高傑作だと思わせてくる唇も。
「っ…!」
ちゅっ───…。
完全なる的からは、ちょっとだけ外れていたんじゃないか。
唇の、数ミリ単位の横。
頬っぺたとまではいかない場所に、弾けるとも言わない絶妙な甘さが音を出す。
もし、ほんのちょっと場所が違っていたら、ルス先輩の唇と私の唇は合わさっていた。



