「…はーー、そっちか。よかった…」
「そっち…?」
「…はは。僕はたぶん、この先も江架には敵わないんだろうな」
ゆっくりと身体が離された次は、手が握られる。
指のひとつひとつを確かめるみたいに絡ませて、きゅっと力が加えられて。
抱きしめられるより恥ずかしいかも…なんて、目を逸らす。
クスッと頭上から聞こえる声だって、あまくて仕方ない。
「ルスせんぱい、」
「ん?」
「……きす…、して……ほしい…」
「…………」
元気、出る気がするの。
明日からもまた頑張れる気がする。
ワガママを言っちゃってるのは分かってるし、困らせちゃったならごめんなさい。
師匠もたまに頭を撫でてくれるけれど、師匠には師匠にしか出せない安心があるように。
ルス先輩からしか味わえないドキドキもあって。
いまの私は、そのドキドキが欲しいかも……。



