寸前で背中を支えた師匠のおかげで、ローサさんに怪我が増えることはなかった。
「ルス、治癒魔法使いは特訓でも必要になる。手加減しろとは言わねえが、あまり無理はさせるな」
わかりました───と、返事が聞こえてくる。
「無理はさせるなって…、変な贔屓はやめてください。50倍なんですよ、無理するに…決まってるじゃないか」
「贔屓?なぜそんなことしなきゃならない」
「…私が…、女だからじゃないですか」
「お前は強い。自分に合った特訓方法も分かってるはずだ」
「………、」
そっと手を離した師匠。
S級魔法士に“強い”と言われたからか、喜びと困惑が入り交じった表情のローサさん。
「それに俺は性別で贔屓するほど優しくもねえよ。今回やろうとしてることは、んなこと気にしてたら───、」
そんなとき、氷の矢が師匠めがけて飛んでくる。
もちろんのこと軽々と避けた彼ではあったが、「……あの野郎」と、低い声。



