「っ…、うぅ…っ、いないもん…っ、お父さんもお母さんもっ、ずっとずっと昔からいないし……っ」
「……きょうだいは?」
「いないよ…!いたらこんな寂しい思いしてない…っ」
「…わかんねえぞ。話されてないだけで、旅に出てた兄貴が居たかもだろ」
どうしてそんな変な希望を持たせてくるの。
それに、どうして抱きしめてくるの…。
男の人で私を抱きしめてくれるのはルス先輩だけだったし、こんなにも大人の男性は初めてだ。
……不思議だ。
緊張よりも安心のほうが大きいだなんて。
「…あにき…?そんなの聞いたことない…、逆にもし居たなら、どうして妹をずっと放ってるの…?」
「…兄貴にも兄貴としての目的があったんだろうな。放ってたわけじゃねえよ」
「……そう…?」
「…ふっ、ああ」
やさしい。
一言一言、一音一音、こんなにも優しいものがあるのかってくらい。
おとぎ話や子守唄を聞かせてくれているような、そんな安らぎがあった。



