「江架。おれは、お兄ちゃんは、どんなものにも負けない魔法士になって……ぜったいまた会いにくるから」
この才能を利用することにした。
おれにしかない才能を、環境を、目的のために使うことにした。
強くなるために江架と離れることを決めた。
これからもっと大きくなって、物心だってついて、どんどんシド兄ちゃんとセーカ姉ちゃんに似てきて。
そんな姿を隣で見つづける兄貴になるのも、たぶん悪くはない。
けど、それじゃ駄目だから。
「江架のこと…、よろしくお願いします。夜巳さん」
「…レオンハルトくん」
背中を向ける。
もう振り返らない。
つぎ振り返るときは、おれのことを覚えてくれているか分からないけれど。
立派な大人になって、魔法士になって、江架の前に現れることができたなら、そのときは。
「おに…っ、にーっ、うぁぁあんっ、やぁぁあああーーー…っ!!」
「……っ」
涙を拭って、妹の泣き声に押されながら足を進める。
ひとつひとつ思い出を振り返ることは、大好きだった人たちの笑顔にすがることは、もうしないと誓った。
そのときまで、しないって。



