地面の灰が作った影は、抱き合っている人の形に見えた。
焼き尽くされるまで、最期の最後まで、彼は愛した女性をずっとずっと抱きしめていたんだろう。
死骸さえ残してくれない灰から感じる、微かな、わずかすぎる気持ち程度の魔力。
間違いなくおれが大好きだった2人のもの。
「……ふざ…、けんな…、ふざけんな…っ、死んでんじゃん…っ、死んでんじゃねえかよ……、っ…、死んでんじゃねえかよ───!!!」
魔法士がいて、このザマだ。
S級魔法士のじいちゃんは何をしていたんだ。
なにが魔法だ、なにが調和だ。
なにが愛だ。
「魔法は…正義で、やがての愛になるって……、言ってただろ…っ」
うずくまって膝を抱える。
残酷なまでに変貌を遂げてしまったシド兄ちゃんとセーカ姉ちゃんのそば、おれはもう立てる気がしなかった。
「うーっ、あっ」
ぺた、ぺた。
まさかこんなところでそれが見られるなんて思っていなかった。
一足、一足。
小さな身体を動かして、ベッドから自力で降りて、うずくまるおれへと向かってくる赤ちゃん。



