「────………」
夢なわけ、なかった。
夢なわけが、ないだろう。
あたり一面に広がる、すさんだ荒れ地。
いつも通っていた道、一緒に特訓をした川、たくさんの山菜が採れる豊かな山々。
ぜんぶぜんぶ、平地に変わっていた。
「……あああ……」
3人の家。
いいや、4人の家。
赤いレンガ調をした、煙突のついた小ぶりだけれど幸せにあふれた家。
ここに、ここにあったはずなんだ。
焼け野原となった場所に、おれは立ちすくむこともできずガクリと膝を落とした。
簡易的に作ったベッドに寝かせた1歳児の声だけが、残酷なほど荒れた大地に響きわたる。
「シ…ド……にいちゃん…」
あるものに気づいたおれは、最大の力を振り絞って腰を上げた。
まさか、そんなはずない。
ちがう、嘘だと言ってくれ。
また気さくな笑顔でおれたちの前に現れてくれるんだ、そうだろ。
「っ…、これが…、これがっ、おれに教えたかった正義なのかよ……っ」



