やめて、やめてと、夫の選択に誰よりも怒って嘆き悲しんでいるのは妻である女性だった。
「…俺の一斉一代のプロポーズ、忘れてんじゃねえよ。たとえ世界の全員がお前の敵になったとしても、
俺だけはずっと一緒にいてやるって、ずっと守るって…約束しただろ。お前を独りになんかさせるかよ……星架」
暴走を止めるのではなく、一緒に焼き尽くされることを望んだんだ。
止められないのなら、一緒に堕ちようと。
持っている魔法ぜんぶを展開したとしてもあっけなく吸収されるなか、彼はただ愛する女を抱きしめていた。
愛って、なんだ。
魔法って、なんだ。
正義って、なんなんだ。
「はっ…、はあ…!はっ、……もう…、なんで……っ」
足を動かせ、膝を上げろ、絶対に立ち止まるな。
もし少しでも躓いて転んだならば、背中から追いかけてくる100万人の魔法使いに殺されるんじゃないかと錯覚する。
逃げても逃げても迫ってくる。
とおく離れて離れても、迫ってくる。



