「ちがうシド兄ちゃん、貸して」
「朝はお前だったろレオンハルト。次は俺の番だ」
「見てられないよ危なっかしくて。ほら、江架ぜんぜん飲んでないもん」
「……やっぱオムツじゃねえのこれ。お~よしよし、泣かないで江架ちゃ~ん」
泣き止まない娘。
どんなに魔法であやしたって駄目。
とうとうシド兄ちゃんはおれに渋々バトンタッチしてきた。
「首はこう支えて、哺乳瓶の角度はこう。魔法で天井に結晶を作れば……ね、飲んだ」
「…すげえ。おまえやべえわ、悔しい通り越して尊敬の域」
おれの家は両親も祖父も忙しい人で、余計ひとりっ子。
幼い頃からひとりでお留守番が普通だった。
家には分厚すぎる魔法書ばかりが揃えられていたから、暇つぶしの一環として読みあさったりして。
そんなことをしていたら子供が習得できないレベルの魔法ばかりを身に付け、
気づいたときには「天才魔法少年」と呼ばれ、同い歳の子供たちからは避けられていた。



