赤ちゃんの時点で飛行魔法が使えるだなんて聞いたことがない。
それもまた、かつて伝説魔法を使っていたとされている末裔にとっての当たり前なのだろうか。
生まれた瞬間に祖母である夜巳さんとシド兄ちゃんが一緒にかけた、制御魔法。
そのおかげで飛行魔法に留まっている赤ちゃん。
「おぎゃあああ……っ」
「よーちよち怖かったねえ江架ちゃん。どーした?オムツでちゅかねー?待ってろパパが今───」
「たぶんミルク。あといい年こいた男の赤ちゃん言葉ほど聞いててキツいものはないから」
「おい!俺はまだ20だっつの!!」
ミルクの温度だって、おれの魔法で適温にすることができる。
正直シド兄ちゃんよりスピードも正確さも自信がある。
シド兄ちゃん、セーカ姉ちゃん、江架。
人里離れた場所で3人がひっそりと暮らす家におれもしょっちゅう泊まり込んでは、家族同然のように過ごしていた。



