「お前も分かる日がくるよ。自分の命より大切なモンに、守りたいモンに出会ったときにな」
「……うん」
「あっ、そうそう。赤ん坊の名前、やっと決まったぞレオンハルト」
そう言って、転がっていた木の棒を手にしたシド兄ちゃん。
……ここは魔法じゃないんだ。
しかし砂の上、手動で書かれた文字を前に、おれは首を傾けた。
「……エカ?」
「…いい名前だろ」
ぜんぜんよくない。
これが考えて考えてやっと決めた名前だというのなら、おれは変えて欲しいとお願いする。
あんなに心を込めて毎日のように悩んだ結果がこれか。
「なんでカンジじゃないの?」
「…………」
そのまま、おれは聞いた。
セーカ姉ちゃんの名前に使われている“漢字”というもの。
それは和の国で使われている文字らしく、おれはてっきりシド兄ちゃんのことだからカンジを使うとばかり思っていた。
あなたが愛した女性との娘なのだから、なおさら。



