「手を貸して、レオンハルト」
すると、取られた手。
どこか緊張するなか、施されるとおりにセーカ姉ちゃんのお腹の前。
「ここ、さわってみて?」
言われるがまま、そっと触れてみる。
ここに何かが入っているのだろうか。
「……なんにもわからない」
「ははっ、だよなー?俺も触るたびに思うわ。男ってほんと情けねえよな」
とか言ってるけど、シド兄ちゃんも旅に行く前とはぜんぜん違う目をしてる。
なんにもわからないけど、確かな温かさだけは分かった。
つめたい氷魔法を使うおれとは正反対の、不思議なあたたかさだ。
「ここにはね、赤ちゃんがいるんだよ」
「……あかちゃん…?」
「そう。シドと私の…赤ちゃん。ふたりぶんの栄養をつけなくちゃだから、ちょっとだけ太っちゃった」
はにかんだセーカ姉ちゃんは母親だった。
トクン、トクン、トクン。
魔法使いで良かったと思ったのは、小さく小さく芽吹いた音を魔力から感じられること。
この子も魔法を持って生まれてくるだろうと、8歳ながらにもおれは確信した。



