シド兄ちゃんは、おれが今より小さい頃から知り合いで兄のような人だった。
魔力開発の特訓にもっと付き合って欲しいのに、彼はいつだって世界中を飛び回りに行ってしまう。
「魔法は殺すものじゃない。…いいかレオンハルト、魔法は愛と調和をもたらすものなんだ」
必ずおれにそう言うシド兄ちゃん。
理解できなくて唇を尖らせたおれに、ふふ、と背後から柔らかな声が届いてきた。
「なあ、星架」
シド兄ちゃんが振り向くと、彼女はゆっくり近づいてくる。
そしておれの前、目線を合わせるようにしゃがんだ。
「レオンハルトは優しい子だよ。ちょっと人見知りで恥ずかしがり屋さんなだけだもんねー?」
化け物なんかじゃない。
彼女こそ、姉みたいに優しいひと。
そっと髪に触れられると伝わってくる魔力は表現できない何かを持っていて、必死に抑えている力を感じる。
セーカ姉ちゃんが「やっと友達になれた」と言っていた、少しだけ言うことを聞いてくれない魔力。



